ビルドンブング

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つい似た名前の作者の本を手に取ってしまう【今週読んだ小説】

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今まで読んだことのない作者の本を読もうと思って図書館を探しても、結局は本棚を眺めながらうろうろするわけで。
自然と、毎回チェックする作者の近くにある本を手に取ることが多い。
するとどうなるかというと、作者の頭文字が同じまたは近い作者の本を手に取る機会が多くなるわけだ。
結果、こうして「藤」から始まる作者の本を連続して読むことになるわけである。
 
今週の2冊

ファイナルガール

図書館は作者の名前順に本が並んでいるので、「藤」で始まる作家のゾーンでたまたま目についたので借りた。
私にしては珍しく白っぽい目立たない表紙の小説だ。
中身はタイトルにもなってる「ファイナルガール」を含めた7つの短編。
それぞれに関連はなく、一貫したテーマがあるようには感じない。
現実的でリアリティのある描写から徐々にファンタジーというか幻想めいてくる展開が多かった。
不思議な世界観で行われる現実的なやり取り。
結末の向かう先が予測できない物語ばかりだった。
 
著者紹介を見てみれば、2013年に芥川龍之介賞を受賞しているそうで。
芥川賞といえば純文学だが、本書には純文学的要素はほとんど感じなかった。
まあ、純文学とは何かを正確に把握していないし、少し前にマヂカルラブリーのラジオにピース又吉がゲストに来たときのトークを思い出してみれば、純文学にこれといった定義もないようなので、勝手に堅苦しいイメージを抱いていただけなのだろうか。
それとも、受賞作はもっと違う文体なのだろうか。
少なくとも「ファイナルガール」は読みやすかったので、氏の他の作品もいくつか手を出してみてもいいかもしれない。
 
同じタイトルの映画があるようだが、本書とは関係ないようだ。
でも、あらすじやレビューを見ると面白そう……

君のいた日々

死別した夫婦の物語。
それはいつまでもパートナーの死を乗り越えられない、立ち止まった状態ではあるのだが、生活のふとした瞬間に湧き上がる感情は同情できるし、否定できない。
以前読んだ「すしそばてんぷら」の作者だ。
作品の雰囲気も似ている。
章題に食べ物が使われているのも同じだ。
大きな事件が起こりそうで起きず、どういう結末に向かっているのかわからないまま物語は進み、穏やかに完結する流れも同様。
違いがあるとすれば明るさか。
「すしそばてんぷら」が美味しい江戸料理を題材に使っていたのに対して、こちらは料理がメインではなく、愛する人を失った夫婦の心情を描いている。
題材としては暗いものの、それを感じさせない仕掛けや文体はうまい。
これはきっと藤野千夜という作家の持ち味なのだろう。
 
こういう夫婦っていいな、と思わせてくれた。
結婚するならこうなりたい。