今週読んだ2冊はギャップが大きかった。
一方は結婚のためにあれこれ頑張る大人女子の話。
もう一方は大人の事件を推理する子供のハードボイルド探偵の話。
共通するのは、どちらも短編集のようになっており、1冊で1つの物語というよりは、ちょっとした物語を積み重ねてひとつの小説になっていることだ。
私に長い物語を飽きずに読む集中力が欠けているのか、面白いと思える小説はこういった短編集形式のものが多い。
今週の2冊
マリッジ:インポッシブル
読み始めてすぐ「これは苦手だ」と思った。
もちろん、読み始めたところなので、作品の内容が苦手だと感じたのではない。
文章だ。
主人公も一人称で語られるのだが、読者に話しかけてくるような語り口調なのだ。
終盤には作者自らが出てくる始末。
個人的に、あまり好きではない。
しかし、それが効果的に作用しているのか、非常にテンポ良く進んでいくのだ。
元が連載されていた作品なのもあるだろう。
また、カバーの折り返しに書かれていたあらすじを読んだ時から内容に期待していたのもある。
結婚。それは女なら一度はあこがれる理想郷……。ここにその夢に目覚めた女がいた——。引田輝子、29歳独身、グルメ番組のディレクター。今の仕事もライフスタイルも手放したくない!だけど結婚もしたくなっちゃった!果たしてそんなことができるの!?まさに”実現不可能”(?)ミッション開始!
「ライフスタイルも手放したくない」というところに共感、そんな主人公がどういう結末を迎えるのか期待して本を手に取ったのだ。
こんなものを読んだら、どんな物語が読めるのか、どんな展開が待っているのか楽しみにもなるだろう。
実際、結婚を意識するようなきっかけから始まり、合コン、デート、見合い、結婚相談所と、思いつく手段は実行されている。
そう、タイトルの通り、結婚をミッションのように捉えて主人公は進んでいくのだ。
考えがこじれていて、気づけは変な方向に進んでいるのが面白い。
見合いや結婚相談所のエピソードがまさにそれだ。
もう一つ気になるのは、作者の藤谷治が、他の作品でも同じような文体なのかということだ。
というわけで、もう何冊か読んでみようと思う。
そう思えるだけで収穫だ。
少なくとも次に図書館に行った時は「どれにしようかな」と適当に本棚を物色することなく、一直線に「ふ」の棚に行って藤谷治の本を手に取ればいいのだから。
ドアの向こう側
えらく大人っぽいハードボイルドな語りかと思えば、まさか主人公は幼稚園児の男の子だった。
ハードボイルドに子供っぽいことを語るアンバランスさが妙に愉快だ。
内容としては推理ものの短編集。
短編ごとに前後の繋がりは特になく、メインの登場人物が共通するくらい。
驚天動地の大トリックはないが、ちりばめられたヒントから、最後にたった一つの結論を推理する展開は見事だ。
シリーズとしては三作目になるのかな?
全く知らずに読んだが、特に問題なし。
登場人物同士が過去にも何か関わりがあったんだろうなと感じさせる描写がいくつかあっただけで、前作を読んでいないと理解できないような展開は皆無だった。
驚いたことに、このシリーズは漫画化されているらしい。
じゃあ漫画も読もうかとはならないが……
仮面ライダーファイズやらウルトラマンコスモスやら爆竜戦隊アバレンジャーやら探偵学園Qやら、えらい懐かしい番組が出てくると思ったら、2004年の本だった。
それにしても、上記のような子供番組の名前を直接出すことで主人公の子供っぽさを直接表現するとは、そういう手もあるのかと虚を衝かれた。