学生時代は暇さえあれば図書館で借りた小説を読んでいたものだ。
大人になると、仕事が忙しくてなかなかゆっくり読書できる時間を取れなかったり、どうせ読むならためになるものをと、技術書やビジネス書を読んでいた。
しかし、小説が好きなことには変わらない。
図書館で、久々に小説を借りた。
読み出すとやはり面白く、読む時間がないなんて言い訳だったかもしれない。
学生時代に読んだ小説をもう一度読んだというのもある。
当時面白かった印象がある小説をもう一度読み返した。
やはり面白い。
今週の3冊
ペンギンのバタフライ
2015年11月に出版されて、当時読んでいたのだが、記憶が曖昧になってきたので再読。
タイトル「バタフライ」とあるように、バタフライエフェクトをテーマにした物語。
5つの短編からなっていて、連続で読めば最後に色々な要素が繋がる。
なんて紹介をすれば、伏線を張り巡らせて最後で一気に回収する爽快感が売りのように思われてしまいかねないが、1つ1つの短編を切り取っても面白い。
それぞれが気軽に読める短編なものだから、ついつい「次のも読もう」となって、結局休むことなく最後まで読んでしまった。
ふと思い出してたまに読み返したくなる小説。
もえない
まだ読んだことない森博嗣の小説がいくつかあって「もえない」もそのうちの1冊だった。
作中の謎は明かされるにもかかわらず、どこかぼんやりと終わっていく、あの森博嗣の作品にある独特の感覚は本作でも感じられた。
作中では、少しのきっかけからどんどん主人公の記憶の曖昧さや、危険な領域に踏み込もうとしている直感が、読んでいる側の不安を増長させる。
これは、映像がなく自分を主人公に置き換えて没入しやすい小説ならではの現象だと思っている。
それを体感できたということは、小説として優れている証拠であると言えるだろう。
東京ローカルサイキック
学生時代に読んだ小説なのだが、やはり年月が経てば忘れていくので再読。
なんとなく面白かったという記憶があったので、分量は多めだが読むことに対する不安はなかった。
当時はカバーイラストの可愛さに惹かれて手に取った。
ピンクをベースにしたカバーというだけでそれなりに目立つのだが、それで手に取ってみるとあのイラストだ。
キャラが可愛いというより、イラストのタッチが可愛いのだ。
この感覚は、実際のカバーを見ればなんとなく理解してもらえると思う。
内容としては、恋愛とSFを掛け合わせた作品となっている。
超能力を持った男女がお互いの能力を隠しながら恋するストーリー。
とだけいうと恋愛要素が強そうに思える。
実際、内容は第一部と第二部に分けられていて、第一部は中学生時代を中心とした青春の恋愛。
しかし第二部からSF要素は加速。
恋愛を進めるためのスパイスとしてのSFというような構造ではあるものの、それにしてはSFサイドの設定がしっかりしているのが好印象。
男側の主人公が愛とは何かを説教する場面は最高潮にカッコいい。