「カクヨム」というサイトがある。
いわゆる小説投稿サイトなのだが、印象として、ユーザーに読まれている投稿はエッセイ系、つまり小説ではない書き物な気がする。
根本的な話、素人が投稿した小説など読む意味がないというか、メリットが「無料で読める」ということくらいで、やはり出版社を通して出版された小説の方が面白さが保証されているわけで……
みたいな話は前にしたけれど。
逆に、そのサイト内で「どうすれば読者を増やせるか考察してみた」みたいな、小説ではないものが注目を集めがちである。
そりゃあ、そのサイトを利用しているユーザー(作者=読者)の状態を思えば、そういったコンテンツが読まれるのは当然だろう。
というわけで、小説ではなくエッセイ系の文章が横行(あえて悪い言い方)している。
ところで、素人が書いたエッセイは小説ではなくブログと言った方が近いだろう。
各個人が思ったことを好きなように書いているのだから。
小説は、思ったことを好きに書くことはできない。
ストーリーやキャラクターを通した表現しかできないし、荒唐無稽でもいけない。
(作風やギミックとしてそういうものを仕込む場合は別として)
だが、小説投稿サイトに投稿されている内容と同じエッセイをブログでやってもアクセス数は見込めないだろう。
やはり小説投稿サイトという環境だからこそ、その「小説投稿」に関して各々が色々と考えた内容が読まれる。
毎回思うけれど、不思議な環境だと思う。
自分で小説を書いて、それを投稿して、他の人が書いた小説を読んで、感想を送り合って。
どう考えても「純粋な読者」が存在していないように思う。
そりゃあそうだろう。
YouTubeなんかで面白くて気軽なコンテンツが無料でいくらでも楽しめる時代だ。
わざわざ面白さが保証されていない上に、長編となれば1時間で読めないようなコンテンツをどうしてわざわざ選ぶだろう。
自分の興味のあることが書かれていそうで、5分もかけずにサクッと読めるエッセイが選ばれるのも当然ではないか。
ということを踏まえれば、読まれる小説を書くにはどうすればいいだろうか?
数分で読めるショートショートを書いて、それを音声合成ソフトに読ませて、ちょっとしたアニメーションを入れた動画をYouTubeにでも投稿することだろう。
もしも「出版」という結果を目指すのであれば、今の時代ならそちらの方がまだ可能性が高いように思う。
少なくとも、作者=読者の環境からは脱することができる。
実際、そういう活動をしている人もいるはずだ。