学生の頃、遠くにある企業の就職試験を受ける際なんかはビジネスホテルに1泊するようなことがあった。
その際は、やはりビジネスホテルだけあって過ごしにくいな、快適じゃないな、と思ったものである。
それはもちろん、実家のちゃんとした環境で生活していたから、そんな普段の生活と比較して過ごしにくく感じたからだ。
さて、今この文章は、仕事で泊まっているビジネスホテルの部屋で書いている。
デスクやテーブルは簡易的なもので、決して座り心地が良いとは言えず、作業に使えるデスクのスペースは狭いけれど、こうしてスマホとモバイルキーボードで文章を書くことはできている。
モバイルキーボードを畳んでスマホと一緒に脇にどければノートを開いて書き物もできる最低限のスペースがある。
つまり事足りている。
他の設備はどうだろう。
学生の頃の私はユニットバスというだけですごく嫌だったのだけれど、今の私の自宅がユニットバスだ。
だからもはやユニットバスが当たり前。
むしろ掃除をサボっているユニットバスでは浴槽が汚く感じてちゃんと掃除をしてからでないとお湯を張って湯船に浸かれないのだけれど、こういうホテルであれば清掃済みなので気兼ねなく湯船に浸かれる。
実際、湯船に浸かった。
出しっぱなしにするレベルでもない一般的な範囲内であれば水は使い放題なので、その辺も気兼ねない。
使い放題といえばエアコンである。
外は30度を超える、日中なんかは四捨五入すれば40度になるような真夏日だけれど、ホテルの室内はエアコンを22度なんかにすればもう涼しいものである。
ベッドだって快適だ。
何せ普段がマットレス+寝袋な睡眠環境である。
まあ雑な安物ではないので、それなりに快適性は保っているけれど。
ホテルならベッドだ。
ビジネスホテルでもカプセルホテルでもベッドだけは絶対にある。
そして、その日限りしか使わないベッドなので、遠慮なく裸で寝る。
いやあ、本当にお金があるなら毎日ホテルに泊まって、洗濯だけコインランドリーを使う方が快適で家事もしなくていいから楽なのになあ、とたまに思う。
そこまでのお金持ちになれる未来は全く考えられないし、もしなったとしてもそういうお金の使い方はしそうにないけれど……
しかしこうして偶発的にホテルに泊まった際なんかは、たとえビジネスホテルでもありがたく感じてしまう。
たぶん、良いことだと思う。
少なくともビジネスホテルに文句を言うよりは健全な精神なのではないだろうか。