歯の話である。
インプラントを入れいてる都合上、月に一回歯医者に行く。
歯石取りをはじめとした口内の整備をしてもらうのだけれど、その度に「ちゃんと歯磨きできていますね」という趣旨のことを言われる。
実際、人生で一度も虫歯になったことがない。
永久歯が生えてこなかった都合でこうして歯医者に通うことにはなっているけれど、それがなければ歯医者とは無縁な人生だっただろう。
ところで、もしも私が毎日しっかり歯磨きをしていたならば「ちゃんと歯磨きできていますね」という発言は、正当な評価として受け入れられる。
しかし私は毎日しっかり歯磨きをしていない。
歯磨きが面倒でうだうだしてしまうくらいなら、潔く「磨かない!」という選択をする。
というようなことを日常的に行なっているから、ちゃんと磨けている、と言われても「いや、ちゃんと磨いてないけどなー」と考えてしまうし、さらに穿った見方をすると「ちゃんと磨いてないのにちゃんと磨けているだなんて、この歯科医さんは大丈夫なのだろうか?」という考えにも及ぶことができる。
しかし、歯医者に行く前は「ちゃんと磨いている」ので、間違いでもないだろう。
こちらとしては「よしよし、うまく誤魔化されてくれたか」としたり顔になったりする。
下手に「磨けていない」と判断されると、歯磨き指導が入って余計なお金を払わされるからだ。
だから歯医者に行く前は念入りに磨く。
歯間ブラシも使う。
本当は毎日、そうじゃなくても3日に1回くらいは使った方が良いのだろうけれど、本当に月に1回の歯医者に行く前しか歯間ブラシを使わない。
それでも「騙されてくれる」と言っていいのかわからないし、わざわざ言わないだけで見抜かれているのかもしれないけれど、少なくとも表面的には磨けていると評価されるようだし、歯磨き指導も入らない。
とはいえ、歯磨きをサボっているわけではない。
というか、インプラントを入れている人ならわかるとは思うけれど、ちゃんと綺麗にしていないとインプラントの根本あたりに詰まった感覚が生じて気持ち悪いはずだ。
こうして文字にして書いているだけでなんだか気持ち悪いような気がしてくるくらいだ。
だからサボろうと思ってもどこかのタイミングで我慢できなくなって綺麗にしてしまうはずだ。
「歯間ブラシは歯医者の前だけ」と書いたけれど、そういう感覚になった時は歯間ブラシを使う。
そういう時しか使わない、とも言える。
この感覚のおかげで、結果的に「ちゃんと磨けている」という状況をキープできているのかもしれない。
逆に、インプラントによる定期検診がなければ、今頃虫歯だらけになっていたりしただろうか?