ビルドンブング

自由でシンプルな生活を求めて試行錯誤する記録を毎日更新中(金曜日はその週に読んだ小説の紹介)

信頼できる著者の小説ばかり読んでしまう……【今週読んだ小説】

新規開拓ができてない。
2冊とも以前読んだことがある小説と同じ著者だ。
図書館で小説を借りる際は、好みに合った安心して読める著者の作品を冊、全く読んだことのない著者の作品を2冊、計4冊借りるようにしている。
今週も、実は3冊読むつもりだったのだが、新規開拓だった1冊がどうにも好みに合わず、途中で読むのをやめてしまった。
まあ、小説に限らないが趣味は楽しむものなので、無理して読む必要はないということで。
別に批評家ではないし。
なので必然的にこのブログで紹介する小説は、私が楽しく最後まで読めた小説ばかりになるわけで、基本的に酷評などない。
ゆえに、批評とは違うのだ。
単なる感想である。
面白いと感じたことには間違いないので、小説を読みたいという気持ちはあるが、何を読めばいいか迷うという方にはオススメだ。
 
今週の2冊

仮面の君に告ぐ

以前読んだ「誘拐屋のエチケット」と同じ著者の小説。
読みやすかったので、他の作品も読んでみようと思っての選択だ。
たまたま「誘拐屋のエチケット」が読みやすかっただけなのか、氏の他の作品も読みやすいのか。
得意ジャンルもあるかもしれないので、できるだけ毛色が違う作品を選んだ。
それが「仮面の君に告ぐ」だ。
タイトルやカバーイラスト、冒頭のプロローグを読んで判断した。
 
さて、内容に関して。
いきなり【1年前】から物語は始まる。
次に【10日前】、そこから1日ずつ進んでいき(戻っていき)、最後の1日は【18時間前】というようにかなり刻んでいく。
それが何の時間を示しているのかは、序盤でハッキリ示されるのだが、果たして0日になるとどうなるのかは最後までわからない。
ちなみにエピローグに当たる部分は【1年後】だ。
ここまでだとちょっとしたSFのように感じられるかもしれないが、ちゃんとしたミステリー小説だ。
1年前に殺された女性の意識が、偶然別の女性に入り込んで、自分を殺した犯人を探すといった内容。
設定はSFチックではあるものの、推理展開はちゃんとしている。
最後まで読んで、タイトルにある「仮面の君」とは誰か、そして誰が「君」に「告ぐ」のか、それがハッキリわかる。
忘れた頃にもう一度読み返したくなる小説だった。
しかし、真相はずっと忘れられないと思う。
むしろ、真相を知った状態で読み返す方が楽しそうだ。
 
作風は「誘拐屋のエチケット」とは全く異なっていたが、読みやすいことには変わりなかった。
もう何冊か、横関大の小説を読んでみようと思う。

天晴れアヒルバス

こちらは「東京ローカルサイキック」や「展覧会いまだ準備中」の山本幸久氏の作品。
どちらも面白く、人間味があふれる、その上で絶妙な舞台設定と綺麗に収束する結末だったので、期待して3冊目。
結果を先に言うと、期待通りだった。
 
序盤は、この物語がどのように展開していくのかがハッキリしない上に、どこか尻切れ蜻蛉のように終わる短編小説の連続に思われた。
(もちろん、それらが全て作用して盛り上がり、最後には全てがうまく収まるのだが)
ここで文章力がなければ、あるいは著者の実力への信頼がなければ、途中で読むのをやめていたかもしれない。
しかし、そこはコミカルな見せ方が読んでいて飽きさせないため、序盤の先が見えない展開も、単純な文章として楽しめる。
 
内容は、バスガイドの主人公が、後輩社員の輝かしい活躍に情熱を失っていたが、様々な人との繋がりを通じて、情熱を取り戻していくというもの。
情熱を失うといっても、暗いものではない。
若い頃の自分を思い出して「年取ったなあ」と感じるくらいの身近さだ。
最後には広がっていたあれやこれやがどれもスッキリと収まるので、心地よく終わる。
 
読み終えて、最後に載っている著者略歴を何ともなしに眺めていると、なんとこの作品には前作があったらしい。
これには驚いた。
なぜなら、続編というと、前作を読んでいないとわから無いような小ネタが散りばめられていて、前作未読者を置いてけぼりをくらったような気持ちにさせるものが多いからだ。
にもかかわらず、本作は全くそれを感じさせない読みやすさだった。
むしろ、前作も読みたいと思わせてくれる。
個人的には小説は1冊で完結されているべきだと思っている。
(初めから上下巻に分かれているなら気にしない)
なので、続編でありながら1冊でキッチリまとまっているというだけで感動できた。