ビルドンブング

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物語がどこに向かってるかわからなくても表現がうまければ読める【今週読んだ小説】

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週に3冊は小説を読みたいと思っているのだが、今週は2冊しか読めなかった。
実は読み始めた小説は3冊あったのだが、1冊は好みに合わなくて、4分の1ほど読んだところでやめてしまった。
自分で買った本ならともかく、図書館で借りた本なのだから、面白いと思えなければ別に無理して読む必要はないわけで。
もしも「やっぱり読みたい」と思えばまた借りればいい。
趣味で読んでいるのだから、読みたいものを読めばいいのだ。
というわけで今週は、最後まで読んだ小説は2冊だけになってしまった。
 
今週の2冊

クビシメロマンチスト

クビキリサイクルでは他の天才たちに埋もれていた語り部「ぼく」の異常性が、大学生の一般人を相手に存分に発揮されている。
戯言シリーズの中でもかなりの後味の悪さで有名だが、
戯言シリーズをすでに一通り読んだ状態から読み返すと、語り部の一挙手一投足が愉快でたまらない。
それでいて前作同様、推理小説としての完成度が高いのだから素晴らしい。
個人的には戯言シリーズを推理小説と捉えるのなら、2作目のクビシメロマンチストまでかなと思っている。
サイコロジカルも良い感じだが、間に挟まってるクビツリハイスクールがなかなか厄介で……
 
確か、初めてこの小説を読んだのは8年ほど前だっただろうか。
クビキリサイクルを読み終えた勢いで、そのままクビシメロマンチストを手に取り、徹夜で最後まで読み切った覚えがある。
流石にそれほどの勢いはなかったが、久々に読み返しても、朝から読み始めて夕方には読み終えてしまうほどの勢いがある。
個人的には「ぼく」の魅力が最大に発揮された文章だと思う。

涙をなくした君に

全体的に重たく、どんよりとした雰囲気。
主人公が何か明確な目的を持って進むストーリー構成ではなかったので、物語がどこに向かって進んでいるのかわからず読み続けていたのだが、それでも疲れずに読み進められる不思議な力があった。
文章がうまいのか、何か起こりそうな気配を常に漂わせるのがうまいのか、妙にリアルなセリフ・言い回しだったからか。
共働きの夫婦と小学校に入学したばかりの子供の3人家族、その妻が主人公だ。
夫と子供とは良好な関係でストレスはない。
ストレスはその他の登場人物にある。
主人公の両親も、妹も、とにかく会話にイライラさせられる。
それは小説として悪いことではない。
フィクションの作られた登場人物の作られた台詞にイライラさせられると言うことは、それだけリアルで現実味のある表現がされているということだ。
過去に縛られて今の家族との幸せな生活に自信を持てない主人公。
そんな状態からちょっとした日常や大きな出来事をきっかけに、解放される。
読み終わるまでハッピーエンドかバッドエンドか、どちらになるかわからない雰囲気だったが、スッキリとした終わり方で良い読後感だった。