先月、会社の友人にポンパドウルでパンを買ってもらいました。
その中で「塩パンロールあんバター」というパンが特に美味しく、パンとして非常に完成度が高いと感じました。
単に美味しいだけでなく、1つのパンの中にいくつもの魅力が詰まっているのです。
今回は、私的「塩パンロールあんバター」の魅了を語ります。
目次
パンの構造
まずは公式サイトの画像をご覧いただきたい。
三日月型のロールパンに、餡子とバターが挟まった名前通りのパンです。
しかし注目したいのは、餡子とバターの位置。
どちらも、パンの端から端までぎっしりと詰まっているわけではありません。
また、餡子に対してバターの方が中央に寄っており、およそ一口ではバターまでたどり着かない仕様です。
しかし、これで良いのです。
具体的に食べるシーンをイメージしつつ解説します。
1口目
まず初めの一口。
餡子であれば一口でたどり着くことも可能ですが、ここは一つ我慢して口を開けすぎず、餡子に辿りつかないように端の部分をか齧って頂きたい。
餡子もバターもない、普通の塩パンの部分です。
つまり、塩パンロールあんバターを食べるにあたって、普通の塩パンの味を確認するのです。
そうすることで、2口目からのこのパンの本領をより鮮明に感じ取ることができるようになります。
2口目
次は餡子の部分まで齧ります。
つまり塩パン+餡子で食べるということ。
餡子の甘さと塩気が絶妙なバランスで楽しませてくれます。
口に入れた時は餡子の甘さを感じるでしょう。しかし、口の中でよく噛んで、パンを口の中で転がしていると、パン生地が舌に接したときに、ほのかな塩気が訪れます。
餡子と塩のギャップがたまらない。
甘いものと辛いものを交互に食べているといくらでも楽しめますよね。このパンは1つで両方を備えているため、塩加減が絶妙なパン生地部分とたっぷり詰まっている餡子の味を互いに強調し合って高めているのです。
3口目
いよいよバターゾーンに突入します。
塩+餡子+バターのトリプルアタック。
非常に濃厚な味わいになります。
ここで、このパンが三日月型をしている事による最大の利点を享受します。
最も贅沢なゾーンが太くてたっぷり。
コース料理でいうところのメインディッシュに当たるでしょう。
口の中で噛み締めてじっくりと楽しみます。
塩、餡子、バター、それぞれの味を個別に感じたり、複数の食感や味が組み合わさった贅沢な味わいを堪能します。
噛んでいると、口内の体温でバターが溶けてきて、口の中に広がります。塩とバターの相性が良いことは自明であり、そこに餡子まで加わると。もう考えるだけでもう一度食べたくなってきます。
まだ半分ですが、ここが最も贅沢な部分となります。
折り返し
1口目から徐々に盛り上がって中央部を食べ終えれば、あとはどんどんと味気なくなっていく。
そんなイメージを抱いてしまうかもしれません。
しかし食べれば判ります。このパンは最後の一口まで楽しませてくれるのです。
はっきり言って、初めの一口と、最後の一口、同じ塩パンのみの部分を食べているにも関わらず、味の感じ方は異なります。
塩パンというと素朴な味わいなのですが、その素朴さが、何も食べる前の1口目と、塩+餡子+バターの複雑な味を舌に受けてからでは、印象が変わるのです。
バターと餡子を食べた後だからこそ、塩パンのシンプルさと塩気が強調され、妙な味わい深さを感じさせてくれます。
まとめ
塩パンロールあんバター美味しい!
思えばパン生地は食べられる粘土のようなもので、焼き加減によっては柔らかさも調整でき、他のものを上に載せても良ければ中に入れ込んでも良い。何なら具材を一緒に焼いてもいいし、パンだけを焼いた後に具材を載せたり入れてもいい。
ある種芸術的な料理と言えるのではないでしょうか。
きっとまだ出会えていない魅力的なパンが世界にはたくさんあるんでしょうね。